SES・自社開発・受託・社内SEの違い|求人票で見る確認軸

SES、自社開発、受託開発、社内SEの違いを比較する求人確認メモ

SESや客先常駐で働いていると、「次は自社開発に行きたい」「受託なら今より相談しやすいのでは」「社内SEなら落ち着いて働けるのでは」と考えることがあります。

環境を変えたいときに、SES以外の働き方を調べるのは大事です。

ただし、自社開発、受託開発、社内SEという名前だけで選んでも、入社後に別のギャップが出ることがあります。

大事なのは、「SES以外なら正解」と決めることではありません。自分が変えたい条件を分けたうえで、求人票、転職エージェントとの面談、企業との面接・カジュアル面談で確認することです。

この記事では、SESで感じている不満別に、自社開発、受託開発、社内SE、条件を絞ったSESのどれを先に見るべきかまで整理します。

ここでは、SES、自社開発、受託開発、社内SEの違いを、担当工程、働く場所、利用者/顧客、評価者、チーム体制、相談・成長環境から整理します。

先に見るポイント
働き方の名前より先に、変えたい条件を決めます。見る軸は、担当工程、働く場所、利用者/顧客、評価者、チーム体制、相談・成長環境です。

目次

最初に、働き方の名前ではなく変えたい条件を分ける

SESから環境を変えたいときは、先に「何を変えたいのか」を書き出すと、求人を見やすくなります。

  • 現場が変わる働き方を減らしたい
  • 自社の人へ相談しやすい環境にしたい
  • 担当工程や使う技術を変えたい
  • 日々の仕事を見ている人に評価してほしい
  • 顧客対応や調整の比重を変えたい

ここが曖昧なまま「自社開発なら良さそう」「社内SEなら楽そう」と考えると、次の職場でも別の不満が出ることがあります。

たとえば、客先常駐を減らしたい人と、担当工程を広げたい人では、見る求人が変わります。働く場所を変えたいのか、評価のされ方を変えたいのか、技術の幅を変えたいのかを先に分けておきます。

SESで感じている不満別に、先に見る候補を分ける

同じ「SESから環境を変えたい」でも、変えたい中身によって見る求人は変わります。先に不満を分けておくと、自社開発、受託開発、社内SE、条件を絞ったSESのどれを見るべきかを整理しやすくなります。

不満別の早見
最初に見る候補は、いま減らしたい負荷で変わります。

  • 常駐や評価者のズレを減らしたい場合は、勤務場所、評価者、配属変更の有無を見る
  • 相談しやすさを変えたい場合は、自社メンバー数、レビュー体制、困ったときの相談先を見る
  • 落ち着きや開発に関わる時間を重視する場合は、障害対応、問い合わせ、オンコール、担当工程、案件例を見る

客先常駐を減らしたい
先に見る候補は、自社開発、社内SE、受託開発です。求人票や転職エージェントとの面談では、勤務場所、常駐有無、配属先、リモート/出社比率を確認します。自社開発や社内SEでも、外部常駐や顧客先作業がある求人はあります。

自社の人に相談したい
先に見る候補は、受託開発、チーム参画型SES、自社開発です。求人票や転職エージェントとの面談では、自社メンバーの人数、レビュー体制、困ったときの相談先を確認します。受託でも、一人で顧客対応する場合があります。

技術の幅を広げたい
先に見る候補は、受託開発、案件選択型SES、自社開発です。求人票や転職エージェントとの面談では、担当工程、使用技術、案件変更の有無、改善提案の余地を確認します。幅が広いほど、特定領域を深めにくい場合もあります。

評価者とのズレを減らしたい
先に見る候補は、自社開発、社内SE、受託開発です。

求人票や転職エージェントとの面談では、日々の仕事を見る人、評価面談の相手、評価材料を確認します。所属会社の評価制度があっても、日々の仕事を見る人と評価者が分かれることがあります。

顧客対応や調整を減らしたい
先に見る候補は、自社開発、開発中心の受託開発です。求人票や転職エージェントとの面談では、顧客折衝、要件定義、問い合わせ対応の比率を確認します。自社開発でも利用部門調整、受託でも要件調整はあります。

落ち着いて働きたい
先に見る候補は、社内SE、社内向けシステム開発、保守運用の役割が明確な求人です。

自社開発も候補になりますが、自社サービス運営では障害対応、問い合わせ対応、リリース前後の負荷が大きい求人もあります。求人票や転職エージェントとの面談では、残業理由、障害対応、問い合わせ件数、オンコール有無、運用比率を確認します。

開発に関わる時間を増やしたい
先に見る候補は、実装や詳細設計に関われる開発職、開発中心の受託開発、担当工程や案件例を具体的に確認できるSESです。

SESの場合は、チーム参画か個人参画かだけでは判断しにくいです。会社の求人では実装比率まで明記されていないことも多いため、案件例、過去の配属実績、入社後に多い工程、レビュー体制を確認します。

AIを使う開発が増えると、今後は「手でコードを書く時間を増やしたい」という希望だけでは、求人を選びにくくなる可能性があります。

実装量そのものが減る職場もありえるため、手を動かす実装時間を増やしたいのか、詳細設計やレビューまで含めて開発に関わる時間を増やしたいのかを分けて見ます。

求人票、転職エージェントとの面談、企業面接では、要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、運用、問い合わせの割合を確認します。

設計を全部避ける前提にせず、自分が増やしたい作業と、求人側の担当範囲が合っているかを見ます。

迷ったら、気になる求人を1件選び、このあとの6つの軸に当てはめて見ます。

SES・自社開発・受託・社内SEの大まかな違い

4つの働き方を大きく分けると、次のようになります。

SES
自社に所属しながら、取引先や顧客先のプロジェクトに入る働き方です。配属先変更、指示系統、評価者、所属会社のフォローを確認します。

自社開発
自社サービスや自社プロダクトの開発・改善に関わる働き方です。担当領域、開発体制、改善サイクル、技術の幅を確認します。

受託開発
顧客から依頼されたシステムや機能を、社内チームなどで開発する働き方です。顧客対応、納期、要件変更、社内レビュー体制を確認します。

社内SE
自社内の業務システムやIT環境を支える働き方です。開発、運用、問い合わせ、社内調整の比率を確認します。

これは大まかな整理です。実際の仕事内容は会社ごとに違います。同じ自社開発でも、既存システムの保守が多い会社もあります。社内SEでも、開発より問い合わせ対応やベンダー調整が多い求人があります。

そのため、求人票では働き方の名前だけで判断せず、実際に何を担当するのかまで見る必要があります。

求人を見るときの判断軸で比べる

上の整理は大まかな特徴です。実際に求人を見るときは、「自分が変えたい条件」に関係する軸ごとに見ます。以下は、6つの軸のうち特に迷いやすい例です。

働く場所
SESは顧客先や取引先プロジェクト、自社開発は自社拠点やリモート、社内SEは自社内や利用部門対応が中心になりやすいです。受託開発は、自社内開発と顧客先作業の両方があります。

評価者
SESは所属会社と配属先側に分かれることがあります。自社開発は自社の上司やチームが見やすく、受託開発は自社上司、顧客評価、案件成果が絡むことがあります。社内SEは情シス責任者や社内評価制度で見ることが多いです。

技術の広がり
SESや受託開発は案件ごとに技術が変わることがあります。自社開発は自社サービスの技術に深く寄りやすく、社内SEは業務システム、運用、インフラ、調整にも広がりやすいです。

相談環境
SESは所属会社のフォローと配属先の体制に差が出やすいです。自社開発は同じプロダクトのチーム、受託開発は社内レビューやPM、社内SEは社内の人に相談できるかを確認します。

注意したい求人表現
「客先常駐あり」「案件により異なる」「常駐先による」「保守運用あり」「担当領域固定」「ヘルプデスク」「ベンダー調整」などは、転職エージェントとの面談や企業との面接で補足確認します。

SESを見るときは、配属先の環境と所属会社のフォローを分けて見る

SESは、自社に所属しながら取引先のプロジェクトに入り、開発、テスト、運用、保守などを支援する働き方です。

案件が変わるたびに、違う配属先や技術に触れられることがあります。一方で、配属先ごとに求められるレベルや働き方も変わります。配属先の難度が高すぎると、経験が浅い人にはしんどくなることもあります。

また、日々一緒に働く人と、所属会社の評価者が違う場合があります。困ったときに誰へ相談できるのか、所属会社が配属先の状況をどこまで把握してくれるのかは確認したい点です。

SESの意味、客先常駐、多重下請け、商流を先に整理したい場合は、基礎記事で「誰が指示するか」「どこで働くか」「誰が評価するか」を確認できます。
SESとは?客先常駐・多重下請け・商流の違いを整理する

自社開発を見るときは、担当領域と改善サイクルを見る

自社開発では、自社サービスや自社プロダクトの開発・改善に関わります。

同じサービスを継続して改善する職場では、利用者の反応や事業の方向性を見ながら開発できます。自社内に知識が蓄積されやすい点もあります。

ただし、扱う領域や技術が固定されることもあります。新しい技術に広く触れるより、既存システムの改善や保守が中心になる求人もあります。

自社開発を見るときは、「自社サービスに関われるか」だけでなく、担当工程、開発体制、リリース頻度、障害対応やオンコールの有無、改善提案のしやすさを確認します。

受託開発を見るときは、顧客対応と社内相談体制を見る

受託開発は、顧客から依頼されたシステムや機能を開発する働き方です。

自社のチームや自社内の開発体制で進める案件もあります。社内に相談しやすい人がいて、会社の知識を使いながら外部案件に関われる場合もあります。

一方で、顧客の要望、納期、仕様変更の影響を受けます。スケジュールが崩れれば残業対応が必要になることもあり、受託なら必ず楽とは言えません。

受託開発を見るときは、顧客折衝の有無、要件定義から関わるのか、実装中心なのか、社内レビューや相談体制があるのかを確認します。

社内SEを見るときは、開発以外の比率も見る

社内SEは、自社内の業務システムやIT環境を支える仕事です。

利用者が社内にいるため、業務改善や現場の困りごとに近いところで働ける可能性があります。

ただし、社内SEといっても、開発だけとは限りません。問い合わせ対応、システム運用、ベンダー調整、アカウント管理、PCやツールまわりの対応が多い会社もあります。

社内SEを見るときは、開発、運用、問い合わせ、社内調整、ベンダー管理の比率を確認します。自分が変えたいのが「客先常駐」なのか、「開発以外の調整を減らしたい」のかによって、合う求人は変わります。

求人票と面談で確認したい6つの軸

SES、自社開発、受託開発、社内SEの名前だけでは、実際の働き方は分かりません。

ここからは、気になる求人1件を実際に見るためのチェック項目です。求人票と面談では、次の6つを記載例とセットで確認します。

ここでの「面談」
この記事では、転職エージェントとの面談、企業との面接・カジュアル面談をまとめて「面談」と呼びます。求人票だけでは分からない条件、配属、体制、担当工程の実態を確認する場として扱います。

担当工程
求人票では「要件定義、設計、実装、テスト、運用、保守」などの工程名を見ます。面談では、入社直後に担当する工程と、半年後に広げられる工程を確認します。

働く場所
求人票では「自社内勤務、顧客先常駐、リモート、ハイブリッド」などを見ます。面談では、常駐の有無、頻度、配属変更の可能性を確認します。

利用者/顧客
求人票では「自社ユーザー、外部顧客、取引先、社内利用部門」などを見ます。面談では、誰から依頼を受け、誰に成果物を渡すのかを確認します。

評価者
求人票では「上長評価、プロジェクト評価、顧客評価、目標管理」などを見ます。面談では、日々の仕事を誰が見て、評価面談にどう反映されるかを確認します。

チーム体制
求人票では「自社チーム、少人数チーム、PM/PLあり、レビュー体制」などを見ます。面談では、同じ会社のエンジニア人数、レビュー相手、相談先を確認します。

相談・成長環境
求人票では「勉強会、コードレビュー、技術選定、改善提案」などを見ます。面談では、困ったときの相談先、実際に触る技術、改善提案の通り方を確認します。

この6つを見ていくと、「SES以外に行きたい」という気持ちを、もう少し具体的な希望条件にできます。

面談では、条件ごとに質問する

面談では、抽象的に「働きやすいですか」と聞くより、担当工程、働く場所、評価者、相談先を分けて聞きます。

以下はすべての求人に同じように聞く質問ではなく、気になる働き方に合わせて選ぶ質問です。SES求人なら客先常駐や所属会社のフォロー、自社開発や社内SEなら担当工程や利用部門との関わりを重点的に確認します。

  1. 入社後、最初に担当する工程は、要件定義、設計、実装、テスト、運用のどこが中心ですか。
  2. 客先常駐や外部拠点での作業はありますか。ある場合、頻度や期間はどの程度ですか。
  3. 同じ会社のエンジニアと一緒に働く体制ですか。それとも一人で参画することが多いですか。
  4. 日々の仕事ぶりは誰が見て、評価面談ではどのように反映されますか。
  5. 開発、運用、問い合わせ対応、顧客折衝の比率は、現時点でどのくらいですか。
  6. 残業が増える場合、主な理由は納期、障害対応、問い合わせ、顧客都合のどれが多いですか。
  7. 困ったときは、現場側、自社側、上長、PMの誰に相談する想定ですか。
  8. 技術選定や改善提案に関われる場面はありますか。ある場合、どの範囲まで関われますか。

求人票だけでは、客先常駐の有無、担当工程、評価者、自社フォロー体制が分かりにくいこともあります。ここまで整理した「自分が変えたい条件」を持ったうえで、相談先ごとの得意領域を見ると、求人選びのズレを減らしやすくなります。

社内SE、自社開発、受託、IT特化など、相談先ごとの違いを整理して確認したい方はこちらです。
SESから環境を変えたい人向け転職サービス比較

業態名だけで判断すると、見落としやすいこと

自社開発、受託開発、社内SEという名前だけで決めると、入社後に別の不満が残ることがあります。

  • 自社開発なら必ず成長できる、落ち着いて働ける、と決める前に、担当工程、運用負荷、改善提案の余地を見る
  • 社内SEなら落ち着いて働ける、と決める前に、問い合わせや障害対応の比率を見る
  • 受託なら必ず相談しやすい、と決める前に、社内レビュー体制や顧客折衝の範囲を見る
  • SES以外なら評価者とのズレがなくなる、と決める前に、日々の仕事を見る人と評価面談の相手を見る
  • 客先常駐なしなら全部解決する、と決める前に、担当工程、相談環境、調整量を見る

まとめ|業態名より、変えたい条件から探す

SES、自社開発、受託開発、社内SEは、それぞれ働き方の特徴が違います。

ただし、どれか一つが必ず正解というわけではありません。

SESは案件ごとに経験が広がることがありますが、配属先や所属会社のフォローに差があります。自社開発は自社サービスに深く関われますが、担当領域が固定されることがあります。

受託開発は顧客要望や納期の影響を受けます。社内SEも開発だけの仕事とは限りません。

次の求人を見るときは、業態名ではなく、担当工程、働く場所、利用者/顧客、評価者、チーム体制、相談・成長環境を確認するところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

未経験からエンジニアへ転職し、現在はフリーランスとして活動中。学習・転職活動・実務で感じたギャップをもとに、未経験者向けにエンジニア転職の判断材料を発信しています。

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