エンジニアに興味を持つ理由として、「収入を上げたい」「将来性がありそう」「手に職をつけたい」という気持ちがある人は多いと思います。
お金を理由にエンジニアを目指すこと自体は、悪いことではありません。
仕事を選ぶうえで、収入や働き方を考えるのは自然なことです。
ただし、「エンジニアは稼げるらしい」だけで目指すと、学習中や転職後にギャップが出やすいです。
未経験からすぐに楽に稼げる仕事、という見方をすると苦しくなりやすいからです。
お金目的でエンジニアを目指してよいのか、未経験の段階でどこを現実的に見ておくべきか。
年収アップを保証する話ではなく、始める前に期待値を整えるために見ていきます。
お金を理由に目指すこと自体は悪くない
まず、お金を理由にエンジニアを目指すこと自体は否定しなくていいと思います。
今の仕事の給料に不安がある。将来の選択肢を増やしたい。専門性を身につけたい。そう考えて仕事を選ぶのは、かなり現実的な理由です。
自分の場合、転職時点で「とにかくお金を稼ぎたい」と強く意識していたわけではありません。会社がつらかったこと、次の道を探していたこと、手に職をつけたい気持ちの方が大きかったと思います。
それでも、エンジニアはできる人なら大きく収入を伸ばせる仕事だというイメージはありました。会社員として経験を積む道もありますし、フリーランスで高い報酬を得ている人がいるという情報も見ていました。
実際、自分も今はフリーランスとして働く中で、同年代の平均的な会社員年収よりは多めに受け取れている感覚があります。
もちろん、これは自分の一例であって、エンジニアになれば同じように稼げるという話ではありません。
案件、経験年数、技術領域、働き方、タイミングによってかなり変わります。
だから、主目的ではなくても「上限が高そう」という期待は少なからずあったと思います。
ただ、「お金がよさそうだから」だけで決めると、途中でしんどくなりやすいです。
学習も実務も、思ったより地道な作業が多いからです。
お金を目的にするのはありです。でも、仕事内容にまったく興味が持てないまま進むと、学習や実務の負荷に耐えにくくなります。
ただし「楽に稼げる仕事」ではない
エンジニアは、パソコン1台で黙々と作業して、効率よく稼げる仕事に見えることがあります。
もちろん、技術が身について経験を積めば、収入や働き方の選択肢が広がる可能性はあります。
ただ、未経験から入る段階では、そこへ行くまでにかなり地道な積み上げがあります。
- 基礎学習で分からない言葉に何度も出会う
- エラーの原因を調べてもすぐ分からない
- 教材は進められても、自分で作る段階で止まる
- 求人票に書かれている技術や業務内容が分からない
- 実務ではコードだけでなく、説明や調整も求められる
自分も最初は、エンジニアを「黙々とコードを書く仕事」だと思っていました。
実際には、打ち合わせ、資料作成、設計の説明、質問への回答など、言葉にして伝える場面も多かったです。
お金を理由に目指すなら、なおさら「どんな作業で収入を得る仕事なのか」を早めに見ておいた方がいいです。
平均年収は参考になるが、未経験初年度の保証ではない
エンジニアの年収を調べると、平均年収の数字が出てきます。たとえば厚生労働省の職業情報提供サイトでは、Web開発技術者などの職業情報として平均年収の目安が掲載されています。
自分も当時、平均年収のような情報は見ていました。特別に突出して高いとまでは感じなかったものの、一般的な平均よりは高そうだ、という印象はありました。
ただし、こうした数字はあくまで職業全体の平均です。経験者、役職者、地域、会社規模、担当領域なども含まれます。未経験から転職した初年度に、その金額を受け取れるという意味ではありません。
平均年収の数字を見るときは、「この職種には収入を伸ばせる可能性がある」くらいの参考情報として見るのがよいです。
未経験の段階で大事なのは、最初から高い年収を期待しすぎることより、経験を積める環境か、学習を続けられるか、求人で求められている力を少しずつ理解できるかです。
参考: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「Web開発技術者」
収入を上げたいなら、技術以外の力も見られる
エンジニアとして収入を上げたいなら、コードを書く力だけをつければよいわけではありません。
実務で役割を広げていくには、言われたものをそのまま作るだけでなく、相手の要望を機能として整理し、実現できるかを考える場面が増えていきます。
- 相手の要望を聞き、必要な機能に分解する力
- その機能を作るうえで、技術的な課題や確認点を見つける力
- 実現できる方法、代替案、難しい理由を説明する力
- データの持ち方や連携の流れを、相手に分かる言葉で説明する力
- 作ったあとに、使われ方を見て改善していく力
たとえば「こういう機能がほしい」と言われたときに、すぐ作り始めるだけではなく、どんなデータが必要か、どこから連携するか、どの条件なら動くか、どこにリスクがあるかを考える必要があります。
そのうえで、「この形なら実現できそうです」「ここは追加確認が必要です」「この条件だと難しいです」と説明できると、単なる作業者ではなく、相談しながら進められる人として評価されやすくなります。
未経験の段階でここまで完璧にできる必要はありません。ただ、学習や小さな制作でも、作った機能の目的、必要なデータ、詰まった点、改善案を短くメモしておくと、実務に近い考え方に触れやすくなります。
高収入を目指すほど、コミュニケーションの比重も上がりやすい
エンジニアとして収入を上げていくなら、技術力だけでなく、任される役割も少しずつ変わっていくと考えた方がいいです。
最初のうちは、決められた作業をこなす、既存のコードを直す、分からないところを調べる、といった比重が大きいかもしれません。そこから経験を積むと、仕様を確認する、設計方針を説明する、後輩やチームへ共有する、顧客や別部署と調整する、といった仕事も増えやすいです。
- 要望を聞いて、何を作るべきか整理する
- 技術的な選択肢を、相手に分かる言葉で説明する
- 問題が起きたときに、原因と対応方針を共有する
- スケジュールや優先順位を相談する
- 自分の作業だけでなく、チーム全体の進め方を見る
高い収入を目指すほど、こうしたコミュニケーションや判断の比重も上がりやすいです。もちろん、技術で深く勝負する道もあります。それでも、自分の技術を説明する場面や、周りとすり合わせる場面は避けにくいと思います。
「人と話したくないからエンジニアになりたい」という理由だけだと、このギャップは将来しんどくなりやすいです。収入を上げたいなら、コードを書く力と同じくらい、何なら、もっと説明する力や相談する力も少しずつ必要になると見ておいた方が良いです。
AIでコードを書きやすくなっても、楽に稼げるとは限らない
最近はAIを使えば、コードを書くこと自体はかなり助けてもらえるようになっています。
ただ、仕事で求められるのは、コードを出すことだけではありません。何を作るのか、どんな状態なら使えるのか、業務ルールやセキュリティ面で問題がないかを確認する必要があります。
収入を上げたいなら、AIに作らせること自体より、必要な情報をAIに渡して作業を早めつつ、出てきたものを人間が確認できることが大事になります。
個人の作業でも、調査、整理、たたき台作成、チェック観点の洗い出しをAIに補助してもらえると、同じ時間で出せる成果の質を上げやすくなります。判断や責任は人間側に残りますが、その判断材料を短時間でそろえるためにAIを使えるかは、働きやすさにも関わってくると思います。
つまり、お金の面でエンジニアを魅力的に感じるなら、AIで楽になる部分だけでなく、確認、説明、調整まで含めて仕事を見ておいた方がよいです。
まずは小さく試して、続けられそうかを見る
お金を理由にエンジニアを目指すなら、最初にやることは「稼げるか」を決めつけることではありません。
まずは、基礎学習や求人票の確認を通して、自分がこの仕事に近づくための準備を続けられそうかを見ることです。
- 入門教材を短い範囲だけ進める
- コードを書いて動く感覚を確かめる
- 分からないところを調べてみる
- 求人票に出てくる言葉を眺めてみる
- エンジニアの仕事内容や役割を調べてみる
この段階で、すべてを理解する必要はありません。「完全には分からないけれど、もう少し触ってみたい」と思えるなら、それは次へ進む材料になります。
逆に、手を動かすこと自体がかなり苦痛で、調べる気力もほとんど出ないなら、エンジニア以外の選択肢も見た方がよいかもしれません。
未経験から始める前の整理は、こちらの記事でもまとめています。
▶ 未経験からエンジニアを目指すのが不安な人へ|最初に整理したい準備
まとめ|お金目的でもいいが、期待値は現実寄りに置く
エンジニアを目指す理由に、お金や将来性があること自体は自然です。
ただし、未経験からすぐ楽に稼げる仕事として見ると、学習や実務とのギャップが大きくなりやすいです。
平均年収は参考になりますが、未経験初年度の保証ではありません。AIでコードを書くハードルが下がっても、必要な情報をAIに渡し、出てきたものを確認して判断する力は必要です。
お金目的で目指しても大丈夫です。
ただ、その前に小さく学習して、作って、求人を見て、自分が続けられそうかを確かめてみてください。
