未経験からエンジニアを目指すとき、「あとで後悔しないかな」と不安になることがあります。
自分も、エンジニアを目指す前にもっといろいろな業界や職種を見ておけばよかった、と感じることがあります。
エンジニアという仕事が悪いという話ではありません。コードを書いて動くものを作る楽しさはありますし、今もその部分は好きです。
ただ、当時の自分は「会社がつらい」「作業に没頭できる仕事がよさそう」という気持ちが強く、自分に合う仕事を十分に調べきれていませんでした。
前職の作業の中では、手を動かして形にすることだけは少し楽しいと感じていました。だからこそ、そこに重きを置いて「自分には向いているはず」と早めに信じてしまった面があります。
興味がある分野を聞かれてもすぐには答えられず、会社を辞めたあとで貯金も多くなかったこともあり、焦りのまま先へ進んでしまいました。今思えば、もっと広い目でいろいろな仕事を見ておけばよかったと感じます。
目指す前に見ておきたい後悔しやすいポイントを、個人の一例も交えながら整理します。
後悔しやすいのは、エンジニアが悪いからとは限らない
まず前提として、未経験からエンジニアになって後悔する人がいるとしても、それは「エンジニアを目指すのが間違い」という意味ではありません。
後悔の原因は、仕事そのものよりも、目指す前の期待値や情報収集の偏りにあることも多いです。
- 黙々とコードを書く仕事だと思っていた
- 人と話す場面が少ないと思っていた
- 学習すれば、そのまま転職につながると思っていた
- エンジニア以外の仕事をほとんど見ていなかった
- 自分が何をしたいかより、今の環境から抜けることを優先していた
自分の場合も、エンジニア以外の選択肢を広く見たというより、「作業系」「自動化」「パソコンを使う仕事」という流れでエンジニアに近づいていった感覚があります。
もちろん、それが完全に間違いだったとは思っていません。ただ、もっと早い段階でいろいろな業界や職種を見ていたら、違う判断材料も持てたかもしれません。
後悔1: エンジニア以外の仕事をあまり見ていなかった
未経験エンジニア転職で一番大きい後悔になりやすいのは、「他の仕事をちゃんと見ないまま決めた」という点です。
エンジニアは、たしかに専門性があり、在宅勤務やフリーランスなどの働き方とも相性がよい場面があります。
ただ、それだけで選ぶと、実務に入ったあとに「自分が本当にやりたかったことと違う」と感じる可能性があります。
自分は、転職活動の時点で仕事そのものへの興味が薄く、深く業界研究をしていませんでした。今振り返ると、ここはかなり大きかったです。
もし今から目指すなら、エンジニアだけを見るのではなく、似た作業感や働き方の仕事も含めて、広く見比べておくとよいです。
肩書きだけで判断すると、実際の作業とのズレに気づきにくいです。たとえば、調べながら進める時間が多いのか、人と調整する時間が多いのか、何かを作って納品する仕事なのか、問い合わせ対応や既存業務の改善が中心なのか。こうした中身を比べた方が、あとから「思っていた仕事と違う」と感じにくくなります。
最初から一つに絞らなくても大丈夫です。求人票や職種紹介を見るときに、1日の仕事の流れ、誰と関わる時間が多いか、何を成果物として出すのか、未経験者にどこまで求められているのかを見るだけでも、エンジニア以外の選択肢と比べやすくなります。
後悔2: 黙々とコードを書く仕事だと思いすぎていた
エンジニアは、ずっと一人でコードを書いている仕事だと思われることがあります。
自分も、入る前はそのイメージが強かったです。人と話すより、作業に没頭できる仕事の方が合いそうだと思っていました。
でも実際には、打ち合わせ、設計資料、要件の確認、仕様の説明、質問への回答など、言語化する場面がかなりあります。
もちろん、プログラムを書く時間もあります。動くものを作れたときの楽しさもあります。
ただ、年次が上がるほど「何をどう作るか」「なぜその設計にするか」を説明する力が求められやすいです。
AIでコードを書く部分が補助されるようになるほど、この傾向はより強くなると思います。単純に手を動かして実装するだけでなく、作りたい機能や、どう動けばOKなのか、どこまで確認するのかを説明する場面が増えやすいからです。
今後は、いわゆる上流工程と呼ばれる要件整理、設計、説明、調整の比重が高くなる可能性があります。だからこそ、コードを書くことだけを仕事の中心だと思いすぎると、入ったあとにギャップを感じやすいです。
ここを知らずに入ると、「思っていた仕事と違う」と感じやすくなります。
後悔3: 作る楽しさだけで仕事内容を見ていた
自分は、手を動かして何かを形にする作業が少し楽しいと感じていました。
その感覚自体は、エンジニアを目指すきっかけとして悪いものではありません。ただ、それだけで仕事内容全体を見たつもりになると、入ったあとにギャップが出やすいです。
実務では、自分が作りたいものを自由に作るだけではありません。既存の仕様に合わせる、他の人が書いたコードを読む、なぜその作り方にするのかを説明する、期限や品質を見ながら進める、といった場面があります。
ここをあまり見ずに、「作るのが好きだから向いているはず」と考えると、実務に入ってから「思っていた作る仕事と違う」と感じやすくなります。
その意味で、小さな自作物を作ってみることは、採用対策だけでなく、自分がどこまでエンジニアの作業に近いことを受け入れられそうかを見る材料になります。
- エラーが出たときに、原因を調べるのが苦痛すぎないか
- 自分で仕様や画面の流れを考えることに興味を持てるか
- 作った理由や工夫を、あとから自分で振り返れるか
- うまく動かない部分を直す作業を、少しでも続けられそうか
自分は、結果的にポートフォリオなしで転職しました。ただし、それを再現性のある方法としてすすめたいわけではありません。当時はエンジニア転職の市況が今よりよかった面もあり、第二新卒だったことも影響していたと思います。
ポートフォリオで何を作るか迷う場合は、既存記事で考え方を整理しています。
▶ 未経験エンジニアのポートフォリオは何を作る?
後悔4: 分からないことを調べ続ける負荷を甘く見ていた
エンジニアの仕事では、分からないことを調べる時間がかなり多いです。
教材の学習では、正解に近い手順や解説が用意されていることが多いです。でも実務では、エラーの原因、既存コードの動き、仕様の意図、環境差分などを、自分で追いかける場面があります。
ここを軽く見ていると、「コードを書く仕事」というより「分からないことを調べ続ける仕事」に感じて、しんどくなりやすいです。
- エラー文を読んで原因を探す
- 公式ドキュメントや既存コードを確認する
- 仮説を立てて小さく試す
- どこまで分かって、どこから分からないのかを整理する
- 質問するために状況を言語化する
未経験の段階で完璧にできる必要はありません。ただ、分からないことを調べて、少しずつ試して、原因を絞っていく作業が苦痛すぎる場合は、入ったあとにギャップを感じやすいと思います。
後悔5: つらい環境から抜けることだけを優先していた
今の会社や働き方がつらいと、「とにかく別の仕事へ行きたい」という気持ちが強くなります。
そう考えてしまうことはあります。自分も、会社がつらくて次の道を探す中で、エンジニアに興味を持ちました。
ただ、今の環境から離れることだけが目的になると、次の仕事で何を大事にしたいかを見落としやすくなります。
たとえば、次のような点を分けて考えておくと、「今の環境から離れたい気持ち」と「次の仕事に求める条件」を混ぜずに見やすくなります。
- 今の仕事の何が一番つらいのか。人間関係、作業内容、収入、拘束時間、評価制度のどれが大きいのか
- 次の仕事で何を改善したいのか。働き方なのか、収入なのか、仕事内容なのか、将来性なのか
- エンジニアの実務にある調査、実装、説明、調整のどこまでなら受け入れられそうか
- 未経験から入る場合、最初は収入や仕事内容が理想通りにならない可能性も見られているか
- エンジニア以外にも、改善したい条件を満たせる仕事がないか
未経験からの進め方は、ロードマップ記事でも整理しています。
▶ 未経験エンジニア転職のロードマップ
それでも、エンジニアを目指す価値がある人もいる
ここまで読むと、未経験からエンジニアを目指すのはやめた方がよいように見えるかもしれません。
でも、そう言い切りたいわけではありません。
安易に「エンジニアは稼げる」とか「自由な働き方ができる」といった言葉に踊らされないでほしいということです。
コードを書いて動くものを作るのが楽しい。エラーを調べて解決できるとうれしい。自分の作ったもので誰かの作業を少し楽にしたい。
そういう感覚があるなら、エンジニアを目指す価値はあります。この感覚は、AIを使う場面が増えても大事です。ただ、手を動かす楽しさだけでなく、作りたい機能や、どう動けばOKなのかを説明することにも興味を持てるかを見た方がよいと思います。
それに、収入面も無視しなくてよいと思います。
未経験から入ってすぐ高収入になるとは言えませんが、経験を積んでできることが増えれば、収入を上げていける可能性がある仕事です。働き方や会社選びによって差はありますが、ここはエンジニアを目指す現実的な理由の一つです。
お金の話だけで選ぶとギャップは出やすいです。ただ、やりがいだけで続ける仕事でもありません。仕事内容への興味と、収入や将来性への期待の両方を見たうえで、それでも試してみたいかを考える方が現実的です。
大事なのは、「後悔しそうだからやめる」ではなく、「後悔しやすい点を先に見たうえで、それでも試すか」を決めることです。これはエンジニアに限った話ではありません。
どの仕事でも、すべてが理想通りになることは少ないです。
得意な部分を生かせる一方で、苦手な作業や合わない場面も出てきます。その中で、仕事内容、収入、働き方、将来性のどれを優先するのか、苦手な部分をどこまで許容できるのかを考えることが大事です。
まとめ: 後悔を減らすには、目指す前に比較する
未経験からエンジニアになって後悔しやすいのは、学習不足だけが理由ではありません。
- エンジニア以外の仕事をあまり見ていない
- 黙々とコードを書く仕事だと思いすぎている
- 作る楽しさだけで仕事内容を見ている
- 分からないことを調べ続ける負荷を甘く見ている
- つらい環境から抜けることだけを優先している
まずは、エンジニア以外の仕事も少し見てみる。そのうえで、小さな教材や制作物を試し、仕事内容、収入への期待、学習負荷を分けて確認する。
その順番で進めるだけでも、後悔はかなり減らしやすくなります。
