SESや客先常駐の現場で「自分だけスキルが足りない」と感じると、かなり苦しくなります。
質問しても理解が追いつかない。任された作業に時間がかかる。周りの人が普通にこなしていることが、自分には重く感じる。
そういう状態が続くと、「もう辞めた方がいいのでは」と考えるのも無理はありません。
ただ、スキル不足を感じる原因は本人の努力不足だけではありません。現場の難度、担当範囲、質問できる環境、会社のフォロー体制が合っていないことで、必要以上につらくなることもあります。
この記事では、SESでスキル不足を感じて辞めたいときに、すぐ結論を出す前に整理したいことをまとめます。
SESでスキル不足を感じる原因は一つではない
スキル不足と一言でいっても、実際にはいくつかの要因が混ざっています。
| 要因 | 起きやすい状態 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 知識不足 | 技術用語や設計の前提が分からない | 何の前提知識が抜けているか |
| 現場難度 | 経験年数に対して担当範囲が広い | 今の役割が自分の段階に合うか |
| 質問環境 | 聞く相手やタイミングが分からない | 誰に何を相談できるか |
| 会社のフォロー | 自社の上司や営業と話す機会が少ない | 現場変更や担当変更を相談できるか |
もちろん、学習や復習が必要な場面はあります。ただ、現場の難度が高すぎる場合や、質問できない環境にいる場合まで、すべてを「自分の能力不足」と決める必要はありません。
まずは「自分が足りない」の一言でまとめず、何につまずいているのかを作業単位で分けることが大事です。
まず「何ができないのか」を作業単位に分ける
スキル不足を感じるときほど、「Javaができない」「設計が分からない」「全部ついていけない」と大きくまとめてしまいがちです。
でも、次のように分けると、対策を考えやすくなります。
- 仕様を読んでも、何を作ればよいか分からない
- 実装方針は分かるが、コードに落とすのに時間がかかる
- エラー調査の進め方が分からない
- レビューで指摘された内容を次に活かせない
- 進捗報告や質問の仕方で止まってしまう
同じ「できない」でも、必要な対策は違います。前提知識を補うのか、作業手順を教えてもらうのか、質問の型を作るのか、担当範囲を調整するのかで、次の行動が変わります。
現場の難度が高すぎるだけの場合もある
SESや客先常駐では、入る現場によって求められるレベルが大きく変わります。
経験の浅い人にとって、現場の技術水準や業務スピードが高すぎると、かなりしんどくなります。これは「エンジニアとして完全に向いていない」という話とは別です。
たとえば、次のような状態なら、まず現場や担当範囲の相性を疑ってよいと思います。
- 入った直後から一人で広い範囲を任されている
- 質問しても前提知識が多すぎて理解できない
- レビューや説明の場はあるが、次に何を直せばよいか分からない
- 自社の上司や営業に状況を共有する機会が少ない
この場合は、辞めるかどうかの前に、自社側へ現場で困っている内容を具体的に伝えます。現場変更、担当範囲の調整、相談頻度の見直しができるか確認します。
質問できない環境なら、成長以前につまずきやすい
経験が浅い段階では、質問できる環境があるかどうかで負担が変わります。
ただ、「何でも聞けばいい」という意味ではありません。質問する側にも、調べたこと、試したこと、どこで止まったかを整理する必要があります。
一方で、質問しても返ってくる答えが極端に少ない、忙しすぎて誰にも聞けない、レビューの意図を説明してもらえない状態では、本人の努力だけでは解決が難しくなります。
質問前には、次の形でメモしておくと相談しやすくなります。
- やりたいこと
- 試したこと
- 出ているエラーや分からない画面
- 自分なりの仮説
- 何を教えてほしいのか
この形で質問しても状況が変わらないなら、自分の努力だけで抱えるより、自社側へ相談する材料にした方がよいです。
辞める前に残したい3つのメモ
辞めたい気持ちが強いときほど、頭の中だけで整理しようとすると苦しくなります。会社へ相談するときや、次の職場で同じ状況を避けるために、次の3つを箇条書きでメモしておくと材料になります。
1. つまずいた作業
どの作業で止まったのかを書きます。技術名だけでなく、仕様理解、実装、テスト、レビュー対応、報告、質問のどれで止まったかを分けます。
2. 相談したこと
誰に、いつ、何を相談したかを残します。相談しても変わらなかった場合も、会社へ状況を伝える材料になります。
3. 少しできるようになったこと
小さくても構いません。前より読めるようになったログ、理解できた仕様、直せたバグ、任された確認作業などを書きます。
辞めるかどうかを判断する場合でも、次の職場を探す場合でも、この3つは役に立ちます。
転職を考えるなら、経験不足を隠すより担当範囲を整理する
スキル不足を感じていると、職務経歴書に書けることがないと思いやすいです。
でも、転職活動で大事なのは、経験を大きく見せることではありません。どのプロジェクトで、どの立場で、何を担当し、何に困り、どこまでできるようになったのかを整理することです。
自分も、案件参画時の面談では、担当したプロジェクト内での立ち位置や担当範囲を聞かれることが多いと感じています。メンバーなのか、リーダーなのか、どの範囲を担当したのか。ここを整理しておくと、次の相談や職務経歴書でも話しやすくなります。
職務経歴書に何を書くか迷う場合は、業務、技術、課題、工夫に分けて材料を出すところから始められます。
▶ エンジニア職務経歴書の書き方|未経験・経験浅めでも整理したいこと
SESのつらさが続くなら、環境を変える選択肢も見る
学習や相談をしても、現場難度、フォロー不足、評価のされ方、商流の見えにくさが変わらない場合は、環境を変える選択肢を見てもよいと思います。
ただし、転職すれば必ず楽になるわけではありません。次の会社でも、担当工程、チーム体制、質問環境、評価者、残業や待機の扱いは確認が必要です。
SESや客先常駐の悩みをもう少し広く整理したい場合は、現場、商流、評価、スキル不足を分けて確認できます。
▶ SESを辞めたいと思ったときに整理すること
すでに環境を変える方向で考えている場合は、社内SE、自社開発、受託、IT特化の転職サービスなど、どの環境を見たいのかを分けて確認します。
▶ SESから環境を変えたい人向け転職サービス比較
まとめ|今日決めるのは退職ではなく、つまずきの種類
SESでスキル不足を感じると、「自分は向いていない」と決めつけたくなることがあります。
でも、スキル不足感は、知識不足だけでなく、現場難度、質問環境、会社のフォロー体制が重なることで、実際以上に強く感じることがあります。
- 何ができないのかを作業単位で分ける
- 現場の難度や担当範囲が合っているか確認する
- 質問できる環境と自社への相談余地を見る
- 転職を考えるなら、担当範囲とできるようになったことを整理する
今日決めるのは、退職日ではありません。まずは、つまずいている作業、相談したこと、少しできるようになったことを一つずつ書くことです。
